【小説】裏世界ピクニック7 月の葬送
裏世界ピクニック
月の葬送
前巻があまり面白くなかったのか記憶があまりない。
いや、前々巻もあまり覚えていない。
しかし、現実なんてそんなものだ。
覚えていないことばかりだけれど、覚えておかないといけないこともそうはない。
先日、閏間さつき氏の葬儀が執り行われた。
参列者は4名とかなり少なかったのだが、一方で斎場がやたらと大きく、かなり奇妙な印象を受けた。
ひとしきり式が終わると、参列者の方々はそれぞれ別れの言葉を述べて去っていく。
うち、1名は緊張したのか嘔吐し気絶してしまったのだが…。
それにしても、その倒れた彼女は見事に放置されており、無事に帰れたのかどうか、謎である。
葬儀というものは非常に不快だ。
生物として忌避すべきイベントだ。
あんな不快なものが全世界で行われていると思うとゾッとする。
どこかで人が死んで。亡くなりました、さぁ集まりましょう。なんてやっている。
まぁ本当はどうでもいいけど。
一般的に葬儀は心を切り替える効能があるように語られるが実際どうなんだろうか。
僕はあまりそうは思えないが。
不明な状況に対するストレスを死んだというソリッドな状況にしたかったんじゃないだろうか。
それを葬式という儀式を通してお互い認め合うことで、より強固に死んだと思い込もうとしているのでは?
実際、事実はわからないし、案外生きているのかもしれない。